東日本大震災による福島第一原発事故を受け、放射性物質測定の需要が高まっています。
核種放射能測定をはじめ、現場でのサンプリング、空間放射線量率測定、及び対象物の表面放射線量率測定など、幅広いニーズに対応いたします。
また、安全の目安となる基準値・規制値比較のほか、ご要望に応じ報告書に最新の行政通知等の情報を添付いたしております。
放射性物質は、放射線の発生源(線源という)。
生物に害を与えるのは放射線。
“放射能”とは放射性物質が放射線を発生する能力のことをいいます。
また、これらの関係を電球、光を出す能力、明るさに例えると以下のようになります。
放射性物質 → 電球
放射能(単位:ベクレル) → 光を出す能力(単位:ワット)
放射線(単位:シーベルト) → 明るさ(単位:ルクス)
地面や建物に降下した放射性物質、服や皮膚に付着した放射性物質から放射線が放出されます。
これを「外部被ばく」といいます。
また、放射性物質の微粒子を吸いこんだ時や、汚染された水や食物を飲食することで体内に取りこまれると、それらの放射性物質は、体内から放射線を浴びせつづけることになります。
これを「内部被ばく」といいます。
放射性核種 | 主な特徴 | 半減期 |
ヨウ素-131 (I-131) |
ベータ線、ガンマ線が放出される。 ガンマ線も放出されるが、ベータ線による甲状腺被ばくが大きな問題となる。10,000Bqを経口摂取した時の実効線量は0.22mSvになる。ガンマ線による被ばくは甲状腺以外に及ぶが、その線量は小さい。 |
8.04日 |
セシウム-134 (Cs-134) |
ベータ線、多くのガンマ線が放出される。 化学的性質と体内摂取後の挙動は、カリウムと似ている。体内に入ると全身(筋肉)に分布し、約10%はすみやかに排泄され、残りは100日以上滞留する。 |
2.06年 |
セシウム-137 (Cs-137) |
ベータ線、ガンマ線が放出される。 性質はセシウム-134と同様。 |
30.1年 |
ストロンチウム-90 (Sr-90) |
ベータ線が放出される。 化学的性質がカルシウムと類似し、体内に取り込まれると骨に集まる傾向がある。化合物は水に溶けやすい性質がある。 |
29.1年 |
ストロンチウム-89 (Sr-89) |
ベータ線が放出される。 性質はストロンチウム-90と同様。 |
50.5日 |
カリウム-40 (K-40) |
ベータ線とガンマ線が放出される。 土壌などに含まれているカリウムの同位体で、天然のカリウムの中に0.0117%の割合で含まれている。 |
13億年 |
放射能及び放射線の単位
主な単位 | 単位 | 単位の意味 | |
放射能の単位 (放射能壊変率) |
Bq (ベクレル) |
1Bqとは放射性核種の崩壊数が1秒につき1個であるときの放射能をいう。 |
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放射線の量に関する 単位
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吸収線量 |
Gy (グレイ) |
1Gyとは、放射線の照射により物質1kgにつき1Jのエネルギーが与えられるときの吸収線量をいう。 |
線量当量 |
Sv (シーベルト) |
1Svとは、放射線の照射により物質1kgにつき1Jのエネルギーが与えられるときの線量当量をいう。 (線量当量とは、放射線が生物に与える影響を共通の尺度で表したもので、放射線の種類によって生物への影響が異なるために、吸収線量に修正係数を掛けて求める) |
放射線を測定します。
シンチレーションサーベイメータは、比較的短時間で多検体の検査が可能です。
環境の空間放射線量測定の他、製品、原料、用水等の汚染状況を迅速に判断出来ます。
測定対応放射線
γ線
測定対象例
下水処理場作業区域、学校等のグラウンド等
測定機器
シンチレーションサーベイメータ
報告単位
シーベルト(Sv/時間、Sv/日 または、Sv/年)
放射性ヨウ素・放射性セシウム分析
当センターでは、これまで培ったサンプリング及び分析技術を活かし、放射性ヨウ素・セシウムの分析を行っております。
飲料水、食品、土壌、汚泥など、様々なサンプルを承っております。
ゲルマニウム半導体スペクトロメータを使用して、γ線を放出する多種類の核種を同時に同定できます。
核種を測定することで、核種別の規制値との比較が容易に出来ます。
当センターはISO17025の認定を受けた試験所です。ISO17025とは国際標準化機構によって策定された試験所及び校正機関の能力に関する一般要求事項の国際標準規格です。
ISO17025の認定を受けた試験所は認定マークを記載することができ、国際的に通用する証明書としての信頼性を高めることができます。
測定対応核種
対象試料
排ガス、下水汚泥・焼却灰、再生土、セメント、土壌、水試料等
測定機器
ゲルマニウム半導体検出器を用いたγ線スペクトル測定装置
報告単位
ベクレル(Bq/g 、Bq/kgまたは、Bq/L等)
測定方法等
その他
放射性ストロンチウム分析
ストロンチウムはカルシウムと化学的性質が非常に似ています。
そのため、体内に摂取されると大部分が骨に取り込まれてしまいます。
放射性核種であるストロンチウムが骨に蓄積した場合、深刻な内部被曝を引き起こし、骨腫瘍及び白血病の危険性まで指摘されています。
ストロンチウムの核分裂反応による生成割合は、セシウムと同程度です。
セシウムと違いストロンチウムは、原発の爆発事故によってあまり飛散していないと言われていますが、食品や環境中に含まれているかどうか分析することは重要です。
測定対応核種
放射性ストロンチウム(Sr-89、Sr-90)
対象試料
排ガス、下水汚泥・焼却灰、再生土、セメント、土壌、水試料等
測定機器
低バックグラウンドGM自動測定装置
報告単位
ベクレル(Bq/g 、Bq/kgまたは、Bq/L等)
分析方法
※注:当センターでは、簡易法(固相抽出法)は採用していません。文部科学省の報道発表(H23.11.24)によれば、固相抽出法は「(財)日本分析センターの実績や海外の文献によると、この手法ではラジウム、鉛などベータ線を放出する天然核種、あるいはベータ線を放出する子孫核種が抽出されることが示されている」との見解を示しています。
分析の流れ
1.前処理
2.除去
3.静置
4.分離
5.測定